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音楽であれ映像であれ、どのメディウムを用いようとも、フェリックス=アントワーヌ・モランの創作アプローチは、詩的な遂行という美的原理に導かれている。現実を虚構や抽象へと移行、変形させながら、彼の作品は叙情性を高めていき、様々な段階を通して現実を書き記し、変換、変貌させることで、新しい知覚による、視覚的、聴覚的イメージへと転換する。彼の活動領域は、電子音響音楽の作曲、ビデオアート、図形楽譜、写真、没入型インスタレーション、ニューメディアといった幅広いメディアを包含している。

モランは作品を通じて、複数のメディアを繋ぐさまざまな可能性を探求しているが、そうした行為は呪文となる。こうしたアプローチで、複数の感覚に訴える作品を生み出し、鑑賞者を没入させようと試みているが、そこでは鑑賞者は作品と一体化し、その独特なイメージの可能性を見つけることとなる。彼の生み出す作品は、絶えず動き、形を変えることで、偏在性、強大さの尺度、この世ではない「あの世」、音響心理学、イメージの音楽的主観性といったさまざまな現象を検証するための経路となる。こうした知覚体験は、世界の表象をさまざまな規模において、異常な世界、現実的な世界、あるいは再構成された世界へと転換する。

サウンドアーティスト/ビジュアルアーティストとして、モランは伝統音楽や宗教音楽からインスピレーションを得ており、儀式の持つ手順の重要性を想起させる。

フェリックス=アントワーヌ・モランは、ケベック大学モントリオール校で美術、モントリオール音楽学校で電子音響音楽の作曲を学んだ。2008年にJTTP賞、2012年にはカナダ・アーツカウンシルからJoseph S. Stauffer賞を受賞。作品は、カナダ国内外のイベントで特集されている。音楽レーベルKohlenstoff Recordsの創設メンバーでもある。

Japanese translation by Fumiko Uchiyama

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